――― が任務に出かけて半年。
いつも自分の周りをうろついていた小さな影がない事にもようやく慣れて来た頃、オレはある冬の寒い日に休暇を取った。
「おーい、パックン。忍犬を家に入れてくれ。」
雪が降る中、外にいた忍犬達の足を拭いて次々家の中に入れていると・・・小さな影がひとつ、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。
雪が降り積もっているのに、その小さな影は雪の上に足跡を残さない。
気配は雪ですっかり隠されているけれど・・・昔からオレの周りをずっとついて回っていたあのやんちゃな空気は今も変わりなくて、オレは入り口にもたれ掛かりながらその影が近くまでやってくるのを待った。
「・・・ただいま、戻りました。」
「お帰り・・・。」
目の前に現れたのは、最後の日に初めてオレの前で涙を見せた・・・少女。
「火影様への報告は?」
「終わりました。すぐに暗部が・・・動き出すと思います。」
淡々と任務をこなした事を告げる少女の体には無数の傷が刻まれていた。
それが、どれだけ今回の任務が厳しい物だったかを物語っている。
けれど・・・は戻ってきた。
「ナルホド・・・じゃぁ成功、って事か。」
「はい。」
少し離れた場所で立ち尽くしているの前で、オレは初めて口布を下ろし両手を広げた。
「・・・お帰り、。良く頑張ったな。」
「・・・っせ、先生!!!」
顔を真っ赤にして飛びついてきた小さな体を抱きしめる。
出会った頃はただ人の持ち物に興味を持っているだけの子供だと思っていた。
18禁の本を読みたいと駄々をこねる、おませなガキ―――そう思っていたはずだった。
けれどいつも精一杯向かってくるの成長を見守っているうちに、の目がだんだん変わってくるのに気付いた。
そしてその中に『恋』が現れるようになってからは・・・オレも自分を誤魔化すのに苦労したっけ。
いつの間にか、オレもお前に捕らわれてたんだよ・・・そのまっすぐな瞳に。
「カカシ先生っ!」
初めて泣いた時と同じようにギュッと服を掴んで泣くが・・・今はとても愛しい。
「こんなトコお前の部下が見たらどう思うのかね。」
「知りませんよ〜っ」
お前が任務に出かけてから、里の野郎どもは暫く覇気がなかった・・・ってのは秘密だ。
いつも元気に動き回っていたお前を見てたのは、オレだけじゃなかったんだが・・・どーせこの子は気付いてないっしょ。
紅と同じ装束を身につけながら、その動作は些か荒っぽい。
それがどれだけ独身男子の目に毒か・・・は考えた事ないんだろうなぁ。
そんな事を考えていたらふと胸に抱いていたが・・・笑い出した。
「ふふふっ・・・」
「?」
「・・・カカシ先生、敗れたり。」
「へ?」
オレの腕の中でしんみり泣いていた筈のは、まるでイタズラに成功したナルトのような笑みを浮かべながら再び雪の上に立っていた。そしてその手には・・・
「あ゛」
「あたし、今日が18歳の誕生日なの!だから見てもいいでしょう?先生!」
「・・・やられた。」
嬉しそうに笑っているの手には・・・オレがついさっきまで読んでいたイチャパラが握られていた。
ま〜ったく6年たっても興味の対象はそれなのか!?
「やったぁ〜♪念願のイチャパラv」
・・・そーみたいね。
「ありゃ苦労するぞ、カカシ。」
「煩いよ、パックン。」
戸口から折り重なってオレ達の様子を見ていた忍犬達へチラリと視線を向けてから扉を閉め、鍵をかける。
頭をかきながら雪上に座り込んでイチャパラを広げているの所へ向かうと、今まさに目次から中身を読もうとしていた本をさっと取り上げた。
「ああああっ!」
「没収。」
「えーっ何で何で!?もう読んでもいいでしょ!」
「こんなものよりオレが実践で全部教えてあげるから、こっち来なさい。」
「・・・じ、実践?」
オレの言葉に驚いたのか、がピタリと動きを止めた。
「そ、忍び足る者書物にて学ぶよりまず実践で体に覚えこむ事なり・・・だろ?」
「・・・・・・」
寒さのせいじゃなく顔を赤く染めたは、オレの理性をあっという間に崩してくれて・・・気付けばオレは雪降る中、彼女の体を抱きしめ・・・キスをした。
ま、ずーっと我慢してたんだ。
これくらいはいいっしょ。
そのまま動かないの耳元で、ずっと温めていた言葉を囁けば・・・彼女は小さく頷いた。
『オレの所に、嫁においで・・・』
え〜っと・・・充さんにお送りした、贈呈物を発見したので、こちらもUPしてみようかなぁと思い引っ張り出しました。
何だろう・・・私、昔の方が話上手く書けてるじゃないかと思ったりとか、人にあげる話の方が面白くないか?とか思ったりしちゃいました。
っていうか、読み返したら・・・うん、この設定好きだ。
うわぁ、どうしよう・・・(汗)←どうもしなくていいだろう。
充さんには普段から色々頂いてるのに、数が比例してなくてすみません(苦笑)
取り敢えず、どーんとカカシ先生の所に嫁に行って下さい。
勿論、式には呼んでくださいね?(笑)